真霊論-アストラル体

アストラル体

アストラル体とは何か

アストラル体は、肉体の外側に重なり合うエネルギー体のひとつであり、オーラの構成要素としても語られています。伝統的なヨガ、神智学や人智学など、さまざまな神秘学派の説では、肉体に最も近い順に「エーテル体、アストラル体、メンタル体、コーザル体」という層が存在すると説明されています。中には、アストラル体の位置を肉体から約30センチほど離れた場所に設定する説もあります。その正体や機能、存在意義については多様な意見が飛び交いますが、どの説にも共通する点は「感情や精神との深い関わり」を持つという点です。

ルドルフ・シュタイナーが説くアストラル体

人智学の創始者であるルドルフ・シュタイナー(1861年2月27日 - 1925年3月30日)は、アストラル体を「感受的身体」または「感受魂」と位置づけています。シュタイナーによると、物質体とエーテル体を合わせた体は、目に見えない感覚を通して色彩、形状、香り、味、触感などの情報を人間に伝えます。そしてこれらの情報は、感受魂の中に生き生きとした表象として浮かび上がり、個々の体験は内面の情動によって快・不快、共感や反感といった感情として感じられます。つまり、魂は単なる不変の存在ではなく、経験を重ねて成長するエネルギー体としてのアストラル体そのものなのです。

シュタイナーはまた、アストラル体が「21歳までに完成される」と説き、エーテル体は植物にも存在するのに対し、アストラル体は人間と動物に限られると主張しました。彼の説では、アストラル体の究極的な使命は、人間の自我をより霊的に進化させ、最終的には「霊我」へと昇華させることにあります。すなわち、霊的な成長とともに、アストラル体はより高次元のエネルギーと繋がる存在へと変容していくのです。

また、シュタイナーはエーテル体とアストラル体の違いについても明確に区別しており、例えば睡眠中や臨死体験時に起こる「幽体離脱」はアストラル体が肉体から一時的に離れる現象であり、エーテル体は身体の生命エネルギーを保持しながら肉体とともに存在し続けると説いています。

ニューエイジ的観点からの解説

ニューエイジの講師たちは、アストラル体をチャクラと関連付けながら解説することが多いです。彼らによれば、アストラル体は肉体からおよそ30センチ離れた位置に存在し、人間の情緒、感情、精神のエネルギーをエーテル体から肉体へと伝える働きを担っています。さらに、アストラル体は時空を越える能力を持つとも言われ、過去生の記憶や経験がこの層に蓄積されているという説もあります。

また、欲望、嫉妬、怒り、見栄といったネガティブな感情がアストラル体に影響を及ぼし、まるで傷がついたかのような状態を引き起こすと考えられています。興味深いことに、夢見や幽体離脱の現象は、アストラル体が一時的に肉体から離れることによって生じるとされ、肉体とは目に見えない糸で繋がっているため、必ず戻ってくるとされています。さらに、睡眠中に生命エネルギーを再生する役割も果たしており、アストラル体が強化されると直感力が向上し、第三チャクラとも密接な関係があると解釈されます。

アストラル・トリップと生霊現象

人間が睡眠中の夢見状態や臨死体験、あるいは特定の訓練によって、意図的にアストラル体が肉体から離脱する現象は「アストラル・トリップ」と呼ばれます。日本語では幽体離脱と表現されることが多いですが、実際に離脱するのはアストラル体であり、エーテル体(時に幽体とも称される)が離脱すると肉体の生命維持が困難になるため、そちらは固定された位置に留まるとする説が有力です。

アストラル体が肉体を離れると、多くの場合、異なる次元であるアストラル界にアクセスし、時には3次元の物質世界に影響を及ぼすこともあります。その代表例が「生霊」と呼ばれる現象です。生霊は、特に恨みや強いネガティブな感情が影響している場合、物質界においてポルターガイスト現象などの不可解な出来事を引き起こすことがあります。ただし、こうした現象の当事者はしばしば夢見状態にあるため、自分のアストラル体が何かしらの作用を行っていると認識できないことも実際に散見されます。

このように、アストラル体の概念は、ルドルフ・シュタイナーの人智学的解釈からニューエイジの講義に至るまで、多様な視点で論じられており、それぞれの立場で情熱や感性が色濃く反映されています。どの説においても、アストラル体は単なる抽象概念ではなく、私たち人間の内面や生き方に深く根差したエネルギー体として捉えられているのです。

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