真霊論-アストラル投射

アストラル投射

【目次】
序章:アストラル投射への誘い
アストラル投射の根源:古代の叡智と魂の旅
霊的解剖学:アストラル体と七つの身体
アストラル界:非物質世界の構造
シルバーコード:魂と肉体を繋ぐ命綱
実践への道標:アストラル投射の技法
近代の探求:ロバート・モンローとヘミシンク
異次元の邂逅:アストラル界の住人たち
光と影:アストラル投射に伴う霊的危険性
結び:意識の拡大と霊的成長

序章:アストラル投射への誘い

アストラル投射とは、単なる好奇心を満たすための超常現象ではない。それは、人間が秘める根源的な可能性であり、意識を拡大させるための神聖なる技芸なのである。この現象は、意図的かつ意識的に、自己の意識の中心、すなわち「アストラル体」と呼ばれる微細身を肉体から分離させ、物理的次元を超えた世界を探訪する行為を指す。その本質は、我々が日常的に認識している物質世界という限定的な現実認識の枷を外し、自己の本質と宇宙の真理を直接的に知覚することにあるのだ。

現代社会において、アストラル投射への関心が高まっているのは決して偶然ではない。かつて人類が未知の大陸や深海に探検のロマンを求めたように、物理的な世界の隅々までが地図に描かれた今、我々の探求心は最後のフロンティア、すなわち「意識」そのものへと向かっているのである。この内なる宇宙への旅は、古代のシャーマンや神秘家たちが実践してきた魂の旅の現代的な顕現に他ならない。それは、霊的成長を促進し、経験の幅を飛躍的に拡大させ、自己の存在が肉体という乗り物に限定されない、より広大で永遠なるものであることを体験的に理解する機会をもたらすのである。故に、アストラル投射の探求は、単なる技術の習得ではなく、自己変革と覚醒への道程そのものなのだ。

アストラル投射の根源:古代の叡智と魂の旅

アストラル投射という概念は、近代オカルティズムの発明品ではなく、その源流は人類の精神史の最も深い部分にまで遡ることができる。意識が肉体を離れて旅をするという思想は、特定の文化や時代に限定されることなく、世界中の神話、宗教、そして神秘主義的伝統の中に普遍的に見出されるテーマであった。

その最も顕著な例の一つが、古代エジプト文明における死生観である。彼らは人間の魂を複数の要素から成る複合的な存在と捉えていた。その中でも「バー(Ba)」は、個人の人格や意識を司る霊魂であり、人間の顔を持つ鳥の姿で描かれた。バーは死後、肉体という束縛から解放され、墓を抜け出して自由に天界と地上を行き来する能力を持つと信じられていたのである。一方で、「カー(Ka)」は生命力そのものであり、肉体に留まり供物を受け取る役割を担っていた。死者の究極的な目的は、このバーとカーが来世で再統合し、光り輝く霊的存在「アク(Akh)」へと昇華することであった。このバーが肉体から分離し、異世界を旅するという観念は、アストラル投射の原型とも言える思想であった。古代エジプトの神官たちが死者のために用意した『死者の書』とは、まさにこの死後の魂の旅を安全に導くための霊的な航海図だったのである。

我が国、日本においても、魂が肉体を離れるという現象は古くから知られていた。「生霊(いきりょう)」がそれである。これは、強い憎しみや嫉妬、あるいは愛情といった激情によって、生きている人間の魂の一部、あるいは全部が肉体から分離し、対象者の元に現れて影響を及ぼす現象を指す。これは多くの場合、無意識的かつ制御不能な投射であり、アストラル投射の持つ力の、いわば影の側面を示している。

さらに視野を世界に広げれば、シャーマニズムの伝統の中に「魂の飛翔(ソウル・フライト)」という実践が普遍的に存在することに気づく。北極圏のイヌイットのシャーマンは、共同体のために狩りの獲物の場所を探したり、病の原因を突き止めたりするために、その魂を肉体から離脱させ、霊的な世界へと旅立った。南米のワイワイ族の呪術医もまた、宇宙的存在と交信するために天空へと飛翔したという。これらの実践は、アストラル投射が単なる個人的な神秘体験に留まらず、共同体の存続と繁栄に不可欠な実用的な技術であったことを物語っている。

これらの古代からの叡智は、時代や文化というフィルターを通して様々な形で表現されてきた。古代エジプトでは来世の安寧のために、シャーマニズムでは共同体の生存のために、そして近代の西洋秘教伝統では個人の霊的覚醒(グノーシス)のために、その目的は変遷してきた。しかし、その核にある「意識は肉体を超えて存在する」という体験的真実は、時空を超えて人類に受け継がれてきた普遍的な遺産なのである。

霊的解剖学:アストラル体と七つの身体

アストラル投射を正確に理解するためには、まず人間存在そのものに対する深遠な洞察、すなわち霊的解剖学の知識が不可欠となる。我々が日常的に「自分」と認識しているこの肉体は、人間という多層的な存在の一番外側の殻に過ぎないのである。この霊的構造論を近代において体系化し、世に広めたのが、ヘレナ・P・ブラヴァツキー夫人が創設した神智学協会であった。神智学は、東洋と西洋の古代からの秘教的知識を統合し、人間存在を七つの階層から成る複合体として提示した。

この七つの身体(あるいは構成原理)のモデルは、流派によって多少の差異はあるものの、その本質は共通している。以下にその代表的な階層構造を示す。

第一に「物質体(肉体)」である。これは物理的な感覚で捉えることのできる最も密度の高い身体であり、我々の物質世界における活動の乗り物である。

第二に「エーテル体(生命体)」が存在する。これは肉体に生命力を供給し、その形態を維持するエネルギー的な鋳型である。肉体に寸分違わず重なっており、健康や生体活動と深く関わっている。このエーテル体を投射することも可能であるが、その場合、活動範囲は物理的世界に限定され、壁を通り抜けるといった体験をする。これはアストラル投射とは区別されるべき「エーテル体投射」と呼ばれるものである。

第三の身体こそが「アストラル体(感情体)」である。これは感情、欲望、感覚、情熱の座であり、我々のパーソナリティの大部分を形成している。アストラル体は肉体よりも精妙な波動を持ち、その活動領域はアストラル界と呼ばれる非物質次元にある。アストラル投射とは、意識の中心をこのアストラル体へとシフトさせ、その本来の活動領域であるアストラル界を探訪する行為なのである。また、過去の行為の結果であるカルマが蓄積されるのも、このアストラル体であるとされている。

第四以降はさらに高次の身体が続く。思考や知性を司る「メンタル体」、個人の魂や過去世の記憶を保持する「コーザル体(原因体)」、そして普遍的な愛や霊的直感を司る「ブッディ体(生命霊)」、神性の輝きそのものである「アートマ体(霊人)」といった、より神聖な意識の乗り物が存在するのである。

この霊的解剖学の理解は、アストラル投射という現象を、漠然とした「幽体離脱」という言葉から、より構造的で再現可能な霊的科学の領域へと引き上げる。なぜ投射中に体験する世界が物理的世界そのものではないのか、なぜ感情が体験の質を大きく左右するのか、その答えはすべて、我々が用いる乗り物(アストラル体)とその活動領域(アストラル界)の性質に起因するのである。この構造を理解することこそが、安全で有意義な探求への第一歩となるのだ。

アストラル界:非物質世界の構造

アストラル投射によって訪れる世界、すなわちアストラル界とは、一体どのような場所なのであろうか。それは、我々の物理的世界から遠く離れたどこか別の宇宙にあるのではない。アストラル界は、我々の世界と共存し、すぐ隣に、あるいは内側に浸透するように存在する、異なる振動数を持つ次元なのである。

アストラル界の最も顕著な特徴は、その物質が思考や感情に対して極めて敏感に反応するということである。物理的世界では、家を建てようと思えば、設計図を描き、資材を集め、時間をかけて建設する必要がある。しかしアストラル界では、思考そのものが現実を創造する力を持つ。強く鮮明に何かを思い描けば、それは即座に形となって現れるのだ。この性質ゆえに、アストラル界は「想念の世界」とも呼ばれる。

この世界は、我々が夜ごと見る夢の故郷でもある。夢の中で体験する非論理的で流動的な世界観は、アストラル界の性質そのものを反映している。また、肉体の死を迎えた魂が、次なる転生やより高次の世界へ移行する前に一時的に留まる領域も、このアストラル界であるとされている。

アストラル界は単一の層でできているわけではなく、そこには無数の亜界層が存在する。それは、地上に近い、比較的密度の濃い領域から、天上的な美しさに満ちた高次の領域まで、意識のあり方に応じて無限の階層に分かれている。旅行者の意識の状態、すなわちその感情や思考の波動が、どの階層に同調し、どのような体験をするかを決定するのである。恐怖や憎しみに満ちた心は、自ずと低次で混沌とした領域に引き寄せられ、そこで自らの内面を反映した悪夢のような光景を見ることになる。逆に、愛と探究心に満ちた心は、光と調和に満ちた高次の領域へと導かれ、そこで霊的な導きや深遠な叡智に触れる機会を得るであろう。

さらに、神智学の教えによれば、アストラル界には「アカシックレコード」と呼ばれる宇宙のすべての出来事、思考、感情が記録された壮大な情報ライブラリーが存在するとされている。熟練した投射者は、このアカシックレコードにアクセスし、過去の歴史や個人のカルマ、未来の可能性といった深遠な知識を得ることも可能だと考えられている。

このように、アストラル界は単なる幻想の世界ではなく、それ自体の法則と構造を持つ厳然たる実在の次元なのである。しかし、その法則とは物理法則ではなく、意識の法則である。この世界を探訪することは、自らの内面世界を探訪することと等しい。アストラル界は、旅行者の魂の状態を映し出す完璧な鏡であり、そこでの体験は、自己認識を深めるためのこの上ない機会となるのである。

シルバーコード:魂と肉体を繋ぐ命綱

アストラル投射を志す者が最初に抱く最も根源的な恐怖は、「肉体に戻れなくなるのではないか」という不安であろう。この恐怖を払拭し、安全な魂の旅を保証する霊的メカニズムこそが、「シルバーコード(銀の紐)」の存在である。

シルバーコードとは、アストラル投射中に、肉体と分離したアストラル体とを繋ぎとめている、霊的な生命エネルギーのコードである。それは、非常に細く、しかし無限に伸縮する、銀色に輝く光の帯として知覚されることが多い。その姿は、あたかも宇宙的な臍の緒(コズミック・アンビリカル・コード)のようであり、肉体とアストラル体の間に生命エネルギーと意識の連続性を保証する、まさに命綱なのである。

このコードの存在により、アストラル体はどれほど遠くの次元へ旅をしようとも、常に自らの肉体との繋がりを失うことはない。そして、投射を終えようと意図した瞬間、あるいは肉体に何らかの危険が迫った際には、このコードを辿って瞬時に肉体へと引き戻されるのである。

多くの初心者が懸念する「コードが切れてしまう」という事態は、通常の意図的なアストラル投射において、偶然に起こることはまずあり得ない。シルバーコードは極めて強靭であり、それを切断できる存在はほとんど存在しないとされている。このコードが完全に断ち切られるのは、肉体的な死が訪れ、魂がこの世での生を終える、その瞬間だけなのである。死とは、このシルバーコードが不可逆的に切断される霊的な出来事なのだ。

したがって、シルバーコードの知識は、単なるオカルト的な豆知識ではない。それは、投射を実践する上での最も重要な精神的な安全装置なのである。この命綱の存在を確信することで、旅行者は戻れなくなるという恐怖から解放され、安心して意識の探求に集中することができる。

さらに、シルバーコードは我々に対してより深い哲学的真実をも示唆している。それは、我々が肉体を持ってこの世に生きている間は、どれほど高次の霊的体験をしようとも、物質世界における自らの身体と存在に対する責任から逃れることはできない、ということである。スピリットとマター、魂と肉体は、このシルバーコードによって分かちがたく結ばれている。霊的な探求とは、肉体を否定し放棄することではなく、この両者の神聖な繋がりを理解し、その上で意識の地平を拡大していく営みなのである。シルバーコードは、その揺るぎない証なのだ。

実践への道標:アストラル投射の技法

アストラル投射は、選ばれた一部の者にのみ許された特殊能力ではなく、適切な知識と訓練によって誰もが到達しうる意識の状態である。その技法は多岐にわたるが、その根底に流れる原理は共通している。それは、「肉体を眠らせ、意識を覚醒させ続ける」という一点に集約される。以下に、そのための段階的なプロセスを詳述する。

第一段階は、心身の完全なるリラクゼーションである。投射を試みるには、まず物理的な身体からの妨害を完全に遮断する必要がある。静かで暗い、誰にも邪魔されない環境を確保し、仰向けの姿勢で横になるのが最も一般的である。意識を身体の各部位に向け、つま先から頭頂部へと順番に力を抜いていく「プログレッシブ筋弛緩法」や、深くゆったりとした呼吸(トランス呼吸)を繰り返すことで、肉体は深い眠りに近い状態へと導かれる。この段階で重要なのは、「投射するぞ」という力みを捨て、ただリラックスの波に身を委ねることである。

第二段階は、覚醒と睡眠の境界状態、すなわち「ハイプナゴジック・ステート」への移行である。肉体が眠りにつくと、意識は通常、それに追随して夢の世界へと移行する。しかし、アストラル投射では、この意識の覚醒を維持し続けなければならない。この境界状態では、様々な感覚的変容が起こり始める。瞼の裏に幾何学模様や光が見えたり、身体が沈み込んだり浮き上がったりする感覚が生じたりする。また、外部の物音ではなく、自身の内側から聞こえてくる「ジー」というようなノイズに意識を集中する技法もある。このノイズは次第に大きくなり、意識を非物理的な領域へと引き込む助けとなる。額の中央、いわゆる「第三の目」と呼ばれる部分に意識を集中し続けることも、この状態を誘発するのに有効である。この段階は、しばしば「金縛り(睡眠麻痺)」として知られる状態と密接に関連している。身体は完全に麻痺しているにもかかわらず、意識だけが明晰であるこの状態は、実は投射への絶好の入り口なのである。

第三段階は、「振動状態」と「分離」である。ハイプナゴジック・ステートを維持していると、やがて身体全体、あるいは身体の内側が激しく振動するような感覚に襲われることがある。これは、意識の焦点が肉体からアストラル体へとシフトし始めている兆候であり、分離が間近に迫っていることを示している。この振動は非常に強烈な場合があるが、恐怖を感じる必要はない。このエネルギーの高まりに身を任せていると、やがて分離の瞬間が訪れる。ここで重要なのは、力ずくで身体から抜け出そうとしないことである。むしろ、優しく「天井に向かって浮かび上がる」ことを想像したり、「ベッドから横に転がり出る」ようなイメージを抱いたりするだけで十分である。意志の力というよりは、むしろ願望に近い、穏やかな意図によって、アストラル体は自然に肉体から滑り出すのだ。

これらの技法は、我々が毎晩無意識に行っている「眠りに落ちる」というプロセスを、意識的に分解し、再構築する試みであると言える。それは、身体感覚という名の錨を外し、意識という名の船を、アストラル界という広大な海原へと出航させるための、内なる航海術なのである。

近代の探求:ロバート・モンローとヘミシンク

古代からの秘儀であったアストラル投射の探求は、20世紀に入り、一人の実業家によって新たな時代を迎えることになった。その人物こそ、ロバート・モンローである。彼は放送業界で成功を収めた現実的な人物であったが、1958年に突如として、意図せざる強烈な体外離脱体験に遭遇した。当初は脳の異常や死の前兆を疑った彼であったが、体験が繰り返されるにつれ、これを主観的な現象として探求することを決意した。

モンローの功績は、体外離脱体験を神秘主義やオカルトの領域から引き出し、客観的かつ体系的な研究の対象とした点にある。彼は自らの体験を詳細に記録・分析し、1971年には人間意識の探求を目的とする非営利の研究・教育機関「モンロー研究所」を設立した。

モンロー研究所が生み出した最も画期的なツールが、「ヘミシンク(Hemi-Sync)」と呼ばれる音響技術である。これは、ヘッドフォンを通して左右の耳にわずかに異なる周波数の音(バイノーラル・ビート)を聞かせることで、脳がその周波数の差分に相当する第三の音を内部で生成する現象を利用するものである。この技術により、脳波を特定の状態(例えば、深いリラクゼーション状態であるアルファ波やシータ波)へと安全かつ効率的に誘導することが可能となった。

モンロー研究所は、このヘミシンク技術を組み込んだ一連のオーディオ・プログラム「ゲートウェイ・エクスペリエンス」を開発した。このプログラムは、参加者を段階的に深い変性意識状態へと導くように設計されている。モンローは、これらの意識状態を「フォーカス・レベル」と名付けた。例えば、「フォーカス10」は「肉体は眠り、意識は覚醒している状態」、「フォーカス12」は「知覚が拡大した状態」、そして「フォーカス21」は「物理的時間と空間を超えた領域」といったように、意識の探求のための地図が提供されたのである。そして、このプログラムの中には、体外離脱を体験するための具体的なエクササイズも含まれている。

ロバート・モンローとヘミシンクの登場は、アストラル投射の歴史における一つのパラダイムシフトであった。それは、何年にもわたる厳しい瞑想修行や、稀な才能に頼らずとも、音響技術という外的刺激を用いることで、誰もが変性意識状態を体験し、体外離脱の入り口に立つ可能性を開いたのである。それは、かつては一部の神秘家の独占物であった意識探求の門戸を、現代の探求者たちに向けて広く開け放つ、画期的な試みであったのだ。

異次元の邂逅:アストラル界の住人たち

アストラル界は、何もない空虚な空間ではない。そこは、我々の物理的世界と同様に、あるいはそれ以上に、多種多様な意識的存在たちが活動する、生命に満ち溢れた領域なのである。アストラル投射を行う者は、遅かれ早かれ、これらの非物質的な住人たちとの邂逅を経験することになる。

これらの存在は、その性質や意識レベルに応じて、大きく三つに分類することができる。

第一に、高次の霊的存在である。これらは、我々が一般に「スピリットガイド」「守護霊」「天使」などと呼ぶ存在であり、旅行者を導き、保護し、霊的な教えを授けるために現れることがある。彼らは愛と光に満ちた存在であり、その邂逅は多くの場合、深い感動と霊的な洞察をもたらす。

第二に、中立的な存在である。このカテゴリーには、様々な存在が含まれる。まず、我々と同じように、意識的に、あるいは夢の中で無意識的にアストラル投射を行っている他の人間たちである。また、アストラル界の特定の領域に本来的に生息している、いわゆる「エレメンタル(自然霊)」のような存在たちもいる。彼らは善でも悪でもなく、ただ自らの性質に従って存在しており、旅行者に対して特に興味を示さないことも多い。

第三に、低次の霊的存在である。これらは、アストラル界の比較的密度が濃く、混沌とした領域に引き寄せられる、ネガティブな感情や欲望に囚われた意識体である。「闇の霊」「悪魔的存在」「エネルギーを吸う吸血鬼的な存在」など、様々な呼び方をされるが、その本質は恐怖、憎しみ、執着といった低い波動を持つ意識である。ある体験者は、投射の最中に多幸感が突如として恐怖と絶望に変わり、目の前にしわくちゃの黄色い皮膚と緋色に輝く目を持つ、グロテスクな頭部が現れたと報告している。このような存在との遭遇は、旅行者に強烈な恐怖を与えることがある。

ここで理解すべき最も重要な法則は、「引き寄せの法則」あるいは「波動の共鳴」である。アストラル界での邂逅は、決して偶然に起こるのではない。旅行者自身の内なる状態、すなわちその思考や感情の波動が、一種のチューニングフォークのように働き、同じ波動を持つ存在や領域を引き寄せるのである。ある体験者が「私がそのようなネガティブな領域に行ったのは、私自身の恐怖心のせいだとわかっていた」と語っているように、恐怖心は恐怖に満ちた存在を引き寄せ、愛と探究心は光に満ちた存在を引き寄せる。

したがって、アストラル界の住人たちとの邂逅は、外部の脅威との遭遇というよりも、むしろ自己の内面の反映との対面なのである。この法則を理解することは、旅行者を無力な犠牲者から、自らの体験を創造する能動的な探求者へと変える。それは、異次元の探求において最も重要な鍵となるのだ。

光と影:アストラル投射に伴う霊的危険性

アストラル投射は、意識の拡大と霊的成長のための比類なきツールであるが、光あるところには必ず影があるように、そこには無視できない霊的な危険性も伴う。しかし、これらの危険性は、正しく理解し、適切な対処法を身につけることで、十分に回避することが可能である。

最大の危険は、肉体的なものではなく、精神的・霊的なものである。そして、そのすべての根源にあるのは、旅行者自身の「恐怖心」に他ならない。恐怖は、アストラル界において最も強力なネガティブな創造力を持つ。それは意志を麻痺させ、意識の波動を著しく低下させ、前述したような低次の存在を引き寄せる磁石となる。祝福に満ちた体験となるはずだったものが、恐怖によって悪夢のようなトラウマに変わり果てることは珍しくない。

恐怖心に支配されたまま不適切な形で投射を終えた場合、そのネガティブな影響が覚醒後の生活にまで及ぶことがある。ある体験者は、投射中に遭遇した恐ろしい存在が、その後、覚醒している時でさえ「シャドウ・ピープル」として常に自分を見つめているのを見るようになったと語っている。これは、強烈な恐怖体験が引き起こした心理的な後遺症であると同時に、ネガティブなエネルギー体との間に意図せぬ繋がり(アタッチメント)が形成されてしまった可能性を示唆している。

また、非常に稀なケースではあるが、投射中に空になった肉体が他の霊的存在に乗っ取られる、いわゆる「憑依」の危険性を指摘する声もある。これは、何の準備も意図も持たずに無防備な状態で投射した場合に起こりうる、最悪のシナリオの一つである。

しかし、これらの危険性は、適切な「霊的自己防衛」の実践によって未然に防ぐことができる。それは迷信的な儀式ではなく、意識のコントロールという極めて実践的な訓練である。

まず、投射を始める前に、常に明確で肯定的な「意図」を設定することが重要である。「私は保護され、導かれ、有益な学びを得るためにこの旅に出ます」といった意図は、強力な霊的指針となる。

次に、自分自身を眩い白や黄金の「光の球」で包み込むことを視覚化する。この光のシールドは、ネガティブなエネルギーや存在の侵入を防ぐ最も基本的かつ効果的な防御法である。

そして最も重要なのは、旅の最中に何が起ころうとも、自己の主権を維持し、「自らの力の中に立つ」という意識を保つことである。アストラル界において、いかなる存在も、本人が恐怖によって力を明け渡さない限り、その者に危害を加えることはできない。自己が光の存在であり、この体験の主導権を握っているという確固たる認識こそが、最強の盾となるのである。

霊的自己防衛の実践は、単なる安全対策ではない。それは、これから足を踏み入れようとしている「思考が現実化する世界」で活動するための、最初の、そして最も重要な訓練そのものなのである。

結び:意識の拡大と霊的成長

これまで、アストラル投射の歴史、理論、実践、そしてそれに伴う光と影について詳述してきた。しかし、これらの知識や技術はすべて、ある一つの究極的な目的へと至るための手段に過ぎない。その目的とは、意識の拡大を通じた霊的成長である。

アストラル投射がもたらす最も深遠な恩恵は、時空を超えた旅そのものではなく、その旅を通して得られる根源的な自己認識の変容にある。意識が肉体から独立して存在し、知覚し、活動できることを直接的に体験することは、「自分は肉体である」という物質主義的な自己同一化からの完全な解放を意味する。この体験は、書物から得た知識や、他者から聞いた教えとは比較にならない、揺るぎない確信を魂に刻み込む。

この確信は、人間が抱く最も根源的な恐怖、すなわち「死への恐怖」を根本から溶解させる力を持つ。肉体の死が意識の終わりではないことを、自らの体験として知る者は、もはや死を終焉として恐れることはない。死は、意識が次なる存在の次元へと移行するための、一つの扉に過ぎないことを理解するのである。この深遠な理解は、人生そのものに対する見方を一変させる。死の恐怖から解放された魂は、より自由に、より大胆に、そしてより愛に満ちて今この瞬間を生きることができるようになるのだ。ある体験者は、この体験が仕事や人間関係の問題解決に良い影響を与え、自らの無限の可能性を確信するに至ったと語っている。

アストラル投射は、霊的真理を「信じる」ことから「知る」ことへと飛躍させる、究極の体験的学習(グノーシス)の道である。「私は肉体以上の存在なのだろうか?」という古来からの問いに対して、自らの意識で直接的な答えを出す試みなのだ。この直接体験こそが、永続的で真の霊的変革を触発する。

もちろん、その道程は平坦ではなく、相応の鍛錬と覚悟を要する。しかし、その先にある報酬は計り知れない。それは、自己の不死性を体験し、宇宙との一体感を回復し、真の自己として生きるという、魂が最も渇望する究極の宝なのである。アストラル投射とは、その宝へと至るための、内なる宇宙への壮大なる冒険の扉なのだ。

参考元

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Is astral projection real? : r/Dreams:https://www.reddit.com/r/Dreams/comments/...

Astral Projection Entities: What You Need to Know:https://soulseekerspath.com/astral-projec...

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